4月25日(金)、フランス社会科学高等研究院のJean-Frédéric Schaub教授によるセミナー, "Encountering the 'Non-European' and Defining 'Europeanness'"が開催された。羽田教授が主宰するGlobal History Collaborative(GHC)が、日本学術振興会の研究拠点形成事業(先端拠点型)として採択され、このセミナーはその記念すべき第1回イヴェントとして企画された。既存の世界史理解の刷新を目指すこの国際共同研究事業は、プリンストン大学(米)、社会科学高等研究院(仏)、ベルリン・フンボルト大学(独)と東京大学が拠点となって緊密なネットワークを形成し、研究者、大学院学生の相互訪問、国際会議、サマースクールなどの各種事業を共同で実施することにより、世界における新しい世界史/グローバル・ヒストリー研究をリードしようとする野心的な試みである。
Schaub教授は、ヨーロッパ的なものが形成されるにあたって、「ヨーロッパ」人が非ヨーロッパ的なものとどのように出会い、それをどのように解釈・理解していったかをいわゆるヨーロッパ中世から18世紀に至るまでの長いタイムスパンの中で包括的に論じた。新しい世界史/グローバル・ヒストリー研究において、ヨーロッパ中心史観の克服はもっとも重要なテーマであり、講演後はその点をめぐって活発な意見交換が行われた。会場の第1会議室は満員の盛況となり、GHCと講演テーマへの関心の高さがうかがわれた。セミナー終了後の茶話会で、Schaub教授は若い大学院生の質問に丁寧に答え、GHCの目指す本格的な相互交流は好スタートを切った。
GHCは今後他の3拠点から訪問する研究者や大学院学生を囲むセミナーや研究会を随時開催して行く予定である。また、12月にはベルリンで”Is Global History Truly Global?: Positionality of Historians”と題するキックオフ・ミーティングが予定されている。
講演者:Jean-Frederic Schaub (Directeur d'Etudes, フランス社会科学高等研究院)
講演題目:"Encountering the 'Non-European' and Defining 'Europeanness'"
日時:2014年4月25日(金)午後1時~3時
場所:東京大学東洋文化研究所3階第1会議室
連絡・問い合わせ先:羽田正
担当:羽田