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附属東洋学研究情報センターとMIT図書館附属アーガー・ハーン情報記録センターおよびファイヴ・クロス・アーキテクツとの研究協力

 東洋文化研究所附属東洋学研究情報センターは、去る2023年12月に米国マサチューセッツ州ケンブリッジのMIT図書館附属アーガー・ハーン情報記録センターおよびインド、ムンバイのファイヴ・クロス・アーキテクツと覚書を交わし、東京大学インド史跡調査団が1959–62年に、東洋学研究情報センター共同研究および機関推進プロジェクトが2015–18年に撮影した写真のデジタル・イメージおよびそのメタデータ(https://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~islamarc/index.html)をイスラーム建築のオープンアクセス資料サイトであるアークネット(https://www.archnet.org)に提供するために協力体制を構築することに合意しました。
  東京大学インド史跡調査団は、デリーに現存するデリー・スルターン朝時代(1206–1526)のイスラーム建築遺構の悉皆調査を行うために組織されました。1959–62年におけるデリーでの2回の現地調査に加え、ベンガル、デカン、グジャラート等、地方の重要イスラーム建造物の調査を行いました。現存撮影写真総数はおよそ17000枚であり、建物別に整理すると、デリーでは500件超、地方では230件超、総計750件近いインド・イスラーム建築の写真データとなっています。これらの写真資料は、既に破壊された建築、手荒く改修された建築、都市化に取り込まれた建築等々の1960年ごろの状況を知る貴重な資料です。また、半数以上が大型カメラによる念入りの撮影である点も資料の重要さを際立たせています。
 東洋学研究情報センターは、インド史跡調査団の成果物としての『デリー 第一巻 遺構総目録』(1967年)に掲載された計385件の遺跡の遺存状況と現況を調べるために、2015–18年の期間に2度の現地調査を実施しました。対象物件を地図とグーグルアース上で同定した上で実際に現地を訪問し、合計23,513点の現況の写真撮影を行いました。
 今回のデジタルデータ共有によって、巨大地震の発生が将来見込まれる東京のみにこれらの貴重な資料が保管され、資料保存の危機にさらされている現状を打破し、Archnetを通して世界の多くの研究者の利用に供することができることは、大きな喜びです。本事業を進めてくださった、Five Cross ArchitectsのAdil Dholakia氏、ArchnetのShiraz Alibhai氏、Matt Saba氏、Michael A. Toler氏に感謝の意を表します。また、1998年から本プロジェクトに携わり、インド史跡調査団写真資料のデジタル化と整理、2015–18年の現地調査において中心的な役割を果たされた日本学術振興会カイロ研究連宅センター長深見奈緒子氏に心からの御礼を申し上げます。
  今後の事業の発展にご期待ください。

 



                                                                                        東洋学研究情報センター教授
                                                                                                      桝屋友子

 

 



登録種別:研究活動記録
登録日時:ThuMar2110:03:262024
登録者 :桝屋・多田
掲載期間:20240322 - 20240622
当日期間:20240321 - 20240321