インドネシア政治経済日誌 2001年1月
日付 曜日 できごと
1月1日  
1月2日 リヤス・ラシッド国家機関活性化担当相が、グス・ドゥル大統領に辞表を提出。
最高検察庁が、チュンダナ街のトミー・スハルトの自宅を接収。
1月3日 グス・ドゥル大統領が、メガワティ副大統領の同意を得ないうちはリヤス・ラシッド国家機関活性化担当相の辞任は認められない、と発言。
為替相場が1ドル9500ルピアの線を越えて下落。
スドラジャッド・ジワンドノ元インドネシア銀行総裁を、同銀行の海外子会社にまつわる汚職容疑で、最高検察庁が取り調べ。
プルタミナ社取締役会の更迭人事を発令。
1月4日 国会提案の最高裁長官候補2人は受け入れられないと、メガワティ副大統領が外遊中のジュネーブで発言。
1月5日 産業貿易省が、消費者保護法違反の容疑で「インドネシア味の素」社全製品の回収を命令。同社は陳謝声明を発表。
警察が、日本人1人を含む「インドネシア味の素」社モジョクルト工場の社員4人とジャカルタ本社の現地社員2人を逮捕。
1月6日  
1月7日  
1月8日 イリアンジャヤで、陸軍師団長、警察本部長、検事正、州議会議長を乗せた空軍機が山中に墜落し全員死亡。
ジャカルタ首都警察本部が前日から身柄を拘束して取り調べていた「インドネシア味の素」社の荒川社長と小田副社長に逮捕状を執行。
1月9日 グス・ドゥル大統領がジャカルタ訪問中の高村法相との会談で、「味の素」製品は「戒律に反していない」(halal)と発言。夕刻、警察が小田副社長を体調不良を理由に釈放。
1月10日 警察が荒川社長を釈放。
「味の素」製品は戒律違反という裁決を撤回しない、とMUI議長が発言。
1月11日 ダヤック人の襲撃を恐れて森林に逃れていたマドゥラ人1300人以上を救出したと、東コタワリンギン県知事が公表。
1月12日 イブヌ・ストウォ初代プルタミナ総裁が死去。
大統領が別の最高裁長官候補を提案するよう国会に要請する書簡の送付を国家官房長官に命じたと、ウィマル・ウィトラル大統領府報道官公表。
1月13日 NUのハシム・ムザディ議長がスラバヤで、NU自警団(Banser)の団員は大統領支持の示威行動のためにジャカルタへ上京すべからず、と発言。
    警察がトミー・スハルト宅の地下室を掘り当てようと試みて、機材不備のため失敗。
1月14日 反大統領派の各種イスラム青年・学生組織がジャカルタで会合し、大統領辞任を求める連合体(Kaukus Istiqlal)を結成。
1月15日 アチェの第2次人道的休戦が期限切れ。アチェ問題解決のための国民委員会の設置を検討中と、スシロ・バンバン社会・政治・治安担当相が記者会見で発言。
ファイサル・バスリ前国民信託党書記長が、離党の意志を表明。
インドネシア銀行が、為替安定のため、民間銀行の非居住者とのルピア為替取引を制限する規則を公布。
1月16日 国会の食糧庁疑惑・ブルネイ国王寄付疑惑事件調査特別委員会(以下たんに「2事件調査国会特別委」と略)による喚問をグス・大統領が拒否し、かわりに質問状の送付を要求。
イリアンジャヤのメラウケで「自由パプア運動」(OPM)のゲリラが、韓国系林業企業コリンド・グループ社の社員12人(うち1人は韓国人)を誘拐。
1月17日 「2事件調査国会特別委」による真相糾明を要求する反大統領派の数千名が国会へデモ。
スイスから移転されたと言われるスハルト元大統領の隠し財産調査のためには、インドネシア政府からの正式の要請状が必要と、オーストリア外相がウィーン訪問中のアルウィ・シハブ外相との会談で発言。
1月18日 ハルン・アルラシド大統領法律顧問を議長、ムラディ前法相を事務局長とする憲法改正調査委員会を設置した、とグス・ドゥル大統領が発言。
バハルディン・ロパ駐サウジアラビア大使が、食糧庁福祉基金流用事件は国会ではなく司法の場で裁かれるべきだと、「2事件調査国会特別委」で証言。
国会の反大統領6会派(闘争民主党、ゴルカル、月星党、改革会派、開発統一党、イスラム信徒連合)が、大統領に対し昨年4月の2閣僚罷免問題の追及を続けることで合意。
中ジャカルタ地裁での汚職容疑裁判で、検察がボブ・ハサン元インドネシア林業協会(APHI)会長に禁固8年を求刑。
1月19日 ジャカルタのタマン・ミニ公園で爆弾を発見した警察の捜査チームが、女性容疑者を逮捕しその自宅から爆弾の原料を押収。
エンドリアルトノ・スタルト陸軍参謀長が、陸軍特殊部隊(Kopassus)を5軍団7000人体制から3軍団5000人体制に縮小・再編する計画を公表。
ハシム・ムザディNU議長が、食糧庁福祉基金流用問題は裁判で決着を付けるべきだとするロパ駐サウジ大使の見解を支持する、と発言。
事件解決の交渉のために派遣されたコリンド・グループ社の代表4人をも、「自由パプア運動」が誘拐。
1月20日 タマン・ミニ公園で逮捕された女性容疑者が、爆弾はトミー・スハルトから託されたものだと自供。(24日にこの自供を撤回。)
1月21日 議会の外でならば「2事件調査国会特別委」代表と対話の用意があると、グス・ドゥル大統領が報道官を通じて表明。
ファイサル・バスリ副委員長、バラ・ハシブアン副書記長ら、国民信託党中央委員会委員16人が離党声明。
アンボンで治安部隊と群衆が衝突、23日までに16人の死者が出る。
1月22日 グス・ドゥル大統領がジャカルタ・コンベンション・センターで「2事件調査国会特別委」代表と会見。会談が司法的な意味をもつのかどうかという問いに「特別委」側が返答しなかったという理由で、大統領は中途で退席し決裂。
インドネシア銀行のシャフリル・サビリン総裁はバリ銀行汚職事件に加担したというサトリオ・ユドノ会計検査院長の発言を、『コンパス』紙が報道。
1月23日 最高裁長官候補2名の指名を変更する意志はない、と国会第2委員会が表明。
「暴力行為による行方不明者と犠牲者のための委員会」(Kontras) が、アンボンの騒乱には軍人と警察官が加担していると声明。
1月24日 東ジャワのイスラム宗教指導者(キヤイ)36人がアクバル・タンジュン国会議長に会見し、国会の反大統領行動を停止するよう要請。
1月25日 ハビビ前政権下で国会を通過した「非常事態法案」(RUU PKB)は軍事優先で人権を侵犯しているのでこれを取り下げ、新たに政府が作成した新法案を検討するよう国会に要請すると、ユスリル法相とマフムッド国防相が記者会見で公表。
反大統領派、親大統領派双方の学生数百名が国会前でデモ。中ジャワ州都スマランでは親大統領派約1万人が州議会へデモ。
ドッジワースIMF代表事務所長が、アクバル国会議長と会談し、インドネシア銀行法案にはなお中央銀行と金融政策の独立性侵害の問題点が見られると指摘。
前政権下で供与された総額6兆ルピアの対農家融資(KUT)の返済が焦げ付いていると、リザル・ラムリ経済調整相が発言。
銀行に滞っている遊休資金は総額425兆ルピアに達する、とリザル・ラムリ経済調整相が発言。
1月26日 「2事件調査国会特別委」が非公開会議で、「大統領は2汚職事件に加担している疑いあり」とする決議を多数決で採択。
メガワティ副大統領の自分に対する支持は疑いない、とグス・ドゥル大統領がモスクでの祈祷集会のあとで発言。
トミー・スハルトが民間銀行にもつ預金30口座が、インドネシア銀行の要請によりすでに凍結されたと、同銀行幹部が発言。
世銀は対インドネシア借款の大幅削減をすでに決定したと、マーク・ベアード同ジャカルタ事務所長が発言。
1月27日 大統領は今後、改革を仮借なく進めると、ウィマル・ウィトラル報道官が記者会見で表明。
スイスで開かれた「世界経済フォーラム」に出席中のフィッシャーIMF専務理事が、インドネシアの構造改革は行き詰まっていると発言。
1月28日 「自由パプア運動」(OPM)に誘拐された韓国系林業企業社員17人のうち14人が、メラウケ県政府代表との交渉の結果釈放される。
シナル・マス・グループの債務整理に関して同グループとの合意が成立したと、エドウィン・ゲルンガン銀行再建庁(BPPN)長官が表明。
1月29日 双方合わせて1万人を越える反大統領派、親大統領派のデモ隊が国会前でにらみ合い。
国会総会が紛糾の末、「2事件調査国会特別委」決議を承認(民族覚醒党議員6人が抗議の意思表示のため退席)。
ロンボク島マタラムの米系鉱山会社ニューモント社の事務所で爆弾が炸裂、建物の一部が損壊(昨年10月にも同様の事件)。
文民政治家が紛争解決に失敗すれば、軍が政治介入するおそれがあると、マフフッド国防相が発言。
1月30日 汚職疑惑2事件に自分は加担していないと、グス・ドゥル大統領がテレビのトーク・ショーで発言。
緊急の大統領令により国会を解散すべき理由は現在ない、とユスリル法相が大統領批判の発言を記者団に公表。
1965年9月30日事件加担の罪でスハルト政権時代に死刑判決を受け、長く獄中にあったオマル・ダニ元空軍相の回想録出版記念パーティーにメガワティ副大統領が出席し、献本を受ける。
1月31日 反大統領派、親大統領派の双方が全国各地でデモ隊の動員合戦を繰り広げる。
対インドネシア借款をこれまでの年平均13億ドルから4億ドルに大幅削減することを、世銀が公式に表明。
銀行再建庁が、7大債務企業グループ(グヌン・セウ、ヌグラハ・サンタナ、ラジャ・ガルーダ・マス、PSP、ジャヤンティ、オンコ、ダルマラ)の資本再構成策を公表。